研究概要 |
1 研究の目的 中・高・大学生男女が性差特性をどのように認識しているかを,男女平等観,性役割志向性,男女の優位性に対する意識・態度の調査から捉え,その結果から新時代の家庭科教育の在り方を考察する。 2 研究の方法 日(甲府市内)・韓(ソウル市内)・独(旧西ベルリン市内)の生徒・学生総数1766名にアンケートを実施,回答結果をコンピュータ処理・態度スケール等で評価し,3か国の比較・検討をおこなった。 3 結果と考察 (1)男女平等観(フェミニスト度)は,日本では15項目全部に性差・発達差がみられたが,韓国では女性の意識が強く発達差より性差が,ドイツでは大学生の態度が反映して発達差が特徴的に認められた。(2)性役割志向性(女権拡張意識の強弱)はドイツでは性差・発達差ともに少なく,「伝統的」な判定は0項目と全体的に進歩的傾向で,日・韓よりフェミニスト的性役割志向性が強い。日本では「選択の自由」を主張する態度が2項目に認められ,特徴的でった。(3)男女の優位性(心理学的性差)では,通説を支持した項目数は13項目中,日本では4,韓・独で各1と,若い男女の間での通説支持率は低調である。(4)日本は3国の中では伝統的態度が特に男子に強い。男女がともに学ぶ家庭科教育において,男女平等の立場で「男女による,より合理的な自由な選択」ができる基礎能力として「価値の教育」が重要である。
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