研究概要 |
液体中における微粒子の付着制御を目的として,水/エタノ-ル混合液中での高分子板への粒子の付着現象をべ,粒子と基質の界面動電位,および,基質と液体の表面自由エネルギ-が付着現象とどのように関わるかを検討した。 粒子として直径的5μmのナイロン12粒子と約4μmのポリエチレン粒子,基質として繊維を溶融して作成した平板(ポリエステル,ポリエチレン,ナイロン6,ポリ塩化ビニリデン,ポリフッ化ビニリデン)を用いた。粒子分散液に板を浸漬して引き上げ,付着粒子数を光学顕微鏡にとりつけたテレビカメラでビデオ録画して計数した。基質と粒子の界面動電位は流動電位法と電気泳動法でそれぞれ測定した。表面自由エネルギ-はwilhelmy法でwetting force測定して算出した。 付着粒子数は30〜60分でほぼ一定となる傾向が認められたので,60分後の値をみかけの平衡付着粒子数nとした。水中ではナイロン粒子よりポリエチレン粒子のほうがnが大きく,いずれの粒子でもポリ塩化ビニリデンに最も多く付着した。粒子と基質のどの組合せにおいても,エタノ-ルの混合比率を増すとnは減少した。ナイロン粒子の場合,エタノ-ル混合比率が40%まで,ポリエチレン粒子では60%まで増加させると粒子はどの基質にも付着しなくなることがわかった。上記の結果は、誘導電率や界面動電位の変化を考慮したヘテロ凝集理論を用いて説明することはできなかった。そこでwetting fovce測定から基質の表面自由エネルギ-を求めて検討した。基質の表面自由エネルギ-の極性成分γ^P_Sと液体の表面自由エネルギ-の極性成分γ^P_Lとnの関係から,γ^P_S〜_=6mJ/m^2でnは極大値を与えること,および,γ^P_Lが小さくなるとnは減少し,n=0となるγ^P_Lの値は,ナイロン粒子の場合13.6mJ/m^2,ポリエチレン粒子では10.4mJ/m^2であることがわかった。
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