研究概要 |
1.種々の食品を食べるとき,その食品のテクスチュアに応じて咀嚼活動を行う。ゲル状の食品では,ゲルの硬さが増すと口蓋圧は増すが一定の閾値を越えると口蓋圧はむしろ減るという結果が得られた。これは口蓋から歯の咀嚼に移行することによる。閾値には個人差があり 200ー300g/cm^2 であった。この閾値より硬くても柔らかくても飲み込め直前の食品は細かく磨砕され、唾液と十分に混合された状態であった。 2.CMCの濃度を変えて粘度調整した飲料の飲み込むときの口蓋圧の経過を測定した。飲料の濃度が3桁変化したとき,口蓋圧は100ー200g/cm^2の2倍程度しか変化なかった。しかし粘度が高いと口内滞留時間が長くなり,唾液との混和が必要と考えられた。 3.前歯の歯茎に小型磁石を貼付け,食品を食べたときの歯の動きに応じて変化する磁場の変化を,口の外に固定した3次元ホ-ルプロ-ブにより3チャンネルで測定した。ホ-ルプロ-ブの直流を交流にチョップする周波数のノイズをフィルタでおとして,磁場変化の信号のS/Nを向上できた。パソコンで磁場変化を座標変化に変換し,時間軸に対してx,y,z,方向の変化としてグラフ表示した(ロ-タス1ー2ー3を利用)。またz方向を歯の上下運動の方向とするとき,z対x,z対y,などの咀嚼中の動きをグラフ表示した。リンゴ,パン,するめなどテクスチュアの異なる食品を食べたときの歯の動きはかなり違うグラフが示された。 4.電気信号,数値の変換処理は計画通りの結果が得られたが,磁場検出のホ-ルプロ-ブを頭部に固定する機械的な装置がまだ不十分で,咀嚼中に1ー2mmのずれがありx,y,z,変位に影響している。今後この固定装置を改良する計画である。次に種々のテクスチュアの食品を咀嚼する過程における歯の動きのデ-タを集積する。
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