実際の洗浄系における界面活性剤の挙動を明らかにするために、被洗物への界面活性剤の吸着に焦点を当て、実際の洗浄の際に吸着する界面活性剤の量とその時間的な変化および汚れ除去過程との関係について調べた。 1.モデル洗浄系における各種繊維(綿、毛、レ-ヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、毛/ナイロン混紡、綿/ポリエステル混紡)へのSDS、LASの各cmc濃度における吸着量を測定した結果、洗浄15分後の吸着量はSDS、LAS共に平衝吸着量とは必ずしも一致せず、毛、ナイロン、アクリルなどの平衝吸着量の多い繊維では平衝吸着量より少なく、綿、レ-ヨン、ポリエステルなどの平衝吸着量の少ない繊維においては、15分後にはほぼ平衝吸着量に近い吸着量が認められた。 2.ステアリルアルコ-ルをモデル油汚れとして付着させたレ-ヨンとポリエステルへのSDSとLASの吸着量と、ステアリルアルコ-ルの離脱過程を調べた結果、LASではSDSに比べ吸着量のバラツキがおおきいものの1分程度の非常に短い時間で多量の吸着が起きるのに対して、SDSでは20℃では10分、50℃では5分程度迄徐々に吸着量は増加した。それに伴うステアリルアルコ-ルの基質からの離脱は、LASよりSDSのほうが大きく、離脱速度には両者に大きい差は認められなかった。
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