研究概要 |
ヨ-ガ呼吸は東洋医療で採用している呼吸法の原点で,意識的に呼吸を長く,深く,吸息ー保息ー呼息の比を1:1〜2:2に調節しながら(調息)行なう複式呼吸である。広義の呼吸は肺胞での換気,ガス交換と循環系ガス輸送および細胞レベルのガス交換の生理過程として捉えられる。本研究はヨ-ガ呼吸の様態を構造的に解析し,ヨ-ガ呼吸が呼吸循環系調節機構に,また代謝系にいかなる影響を与えているかを明らかにすることである。特に本年度は,呼吸様態と循環系因子と相関させて構造的に解析することを重点にして研究を行なった。方法:混合ガス(C_2H_20.7%,Ar9%,O_221%,N_2残余)を呼吸させ,この時の呼吸気濃度パタ-ンの変化より肺換気,肺血流,ガス交換,心血管系のガス輸送動態を同時に相関的に測定解析する方法を用いた。この方法は夫々のガス種が換気,血流,拡散,組織代謝,Hbガス輸送動態を選択的に表わすことに基づいている。これは西等が特に呼吸・循環の構造的解析を目的として開発中のものである。結果と考察:安静的におけるヨ-ガ訓練者の呼吸状態は,1)呼吸リズム(吸息ー保息ー呼息ー保息)のうち保息が長く,附随して呼吸数も6回/分と少ない。この現象は,C_2H_2,Ar混合気吸入呼出時の呼気Ar濃度FEAr(t)が均一化していることから,換気分布がより均等化されていることを示すものである。2)呼気終末濃度の変化分△FEO_2,△FECO_2ともに標準値(表)より有意に高値を示し,O_2,CO_2解離曲線の特性から組織へのO_2輸送が促進されているものと思われる。3)同時に測定されたQ^^・c/V^^・より導かれるガス輸送効率VO_2/Qc=Cao_2ーCvo_2(動静脈血O_2含量較差)も高値を示した。以上,ガス輸送の観点からヨ-ガ呼吸は,換気当量,O_2摂取率(表),心血管系ガス輸送において,より高い効率をもつことが示された。 (].ZU.[)
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