研究概要 |
保育形態が幼児の身体意識や行動特性に及ぼす影響について,幼稚園1181名,保育所942名合計2123名を対象に調査した。 I.身体意識は(1)身体像,(2)身体図式,(3)身体概念で構成されている。 (1)を身体画の描画得点で評価した。男児は幼稚園が高く,女児は保育所が高かった。更に心理的満足感を反映する描画面積は、両形態の男児が大きく身体活動量と一致した。保育形態別では男女共保育所が大きく,長時間保育の中でのびのびと遊びを展開していた。 (2)を25m走,立ち幅跳び,ソフトボ-ル投げの記録で検討した。25m走,ソフトボ-ル投げは幼稚園が,立ち幅跳びと総合得点では保育所の記録が良好であった。保育所の園庭が狭く,保育環境としての園庭面積の影響がみられた。 (3)では身体部位認知調査を行った。全体的に保育所の方がよく認知しており長時間保育の効果がみられた。 II,各園の自由な活動を午前9時〜10時にVTRで録画し体育科学センタ-の362種類の遊びと比較検討した。幼稚園7か園43クラスで136種(37.6%),保育所17か園51クラスで99種類(27.3%)の遊びが観察され,幼稚園の方が遊び環境として遊具も多く多様な遊びが展開されていた。しかし両形態ともとび箱を解体した遊びやなわを結んだり輪にした遊びが出現せず,可塑性豊かな遊具の使い方が乏しかった。また各種鬼遊び,ごっこ遊び,わらべ歌を伴った遊びも少なかった。これらは保育者の働きかけがなければ,自由な活動では成立しにくい遊びなので今後の課題である。体育科学センタ-は幼児の心理面にかかわる,注意力,さ,意志力,馴れ,創造性,友だち,活動性に注目し行動特性と名付けた。この7つの行動特性全てに関係している遊びの出現は、保育所より幼稚園の方が多く心理的な側面に良い影響を及ぼしていた。
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