研究課題/領域番号 |
02680185
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
原子力学
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研究機関 | 神戸商船大学 |
研究代表者 |
三宅 寛 神戸商船大学, 商船学部, 教授 (00031443)
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研究分担者 |
山内 知也 神戸商船大学, 商船学部, 助手 (40211619)
小田 啓二 神戸商船大学, 商船学部, 助教授 (40169305)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1990年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 固体飛跡検出器 / 酸素効果 / 潜在飛跡 / CRー39 / 吸蔵酸素濃度 / 酸素の拡散係数 / ラジカルの寿命 |
研究概要 |
固体飛跡検出器による重荷電粒子計測法は、特性の優れたCRー39検出器の使用により、中性子個人線量計やラドン測定などへの応用とともに核融合、宇宙科学など先端分野の研究における有力な測定手段となっている。研究の発展に伴い、真空保持による感度低下が大きな問題となってきた。この酸素効果と呼ばれる現象の機構を解明し、放射線に対する応答特性のより優れた検出器の開発を目的として研究を行った。 まず、代表的メ-カ-各社のCRー39について、真空中での放出ガスの質量分析を行って吸蔵酸素の濃度と拡散係数を測定し、真空中保持による検出器内の酸素濃度の時間的変化を求め、検出器応答特性の照射前真空保持による変化と比較した。その結果、(1)重荷電粒子の潜在飛跡は大部分が生成されたラジカルの吸蔵酸素との結合による損傷固定で形成されること、(2)真空保持による応答特性の時間的変化はラジカルの自然消滅と酸素による損傷の固定との競合により説明できること、などが明かとなった。この成果は「放射線」第16巻3号(1990年12月)に発表した。 補助金により製作したパルスモ-タ駆動試料移動装置付き照射用真空容器を使用してさらに精密な実験を行い、長時間真空保持により吸蔵酸素濃度が無視できる程低い状態での検出器応答特性と、酸素供給による回復効果について調べた。その結果、(3)α線照射により形成される潜在飛跡については、無酸素状態での損傷固定は大気中照射のときの4%未満であり、CRー39の種類によってはほとんどゼロであること、(4)無酸素状態でのラジカルの寿命は単一定数ではなく、数分以下の成分に加えて、数十分もの長寿命の成分があること、などが明かとなった。この成果はNuclear Tracks and Radiation Measurementsに投稿した(1992年3月受理)。これらの成果により検出器特性改良の指針が得られ、他の研究グル-プとも協力して新しい素材を用いた検出器開発を試みている。
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