研究課題/領域番号 |
02680213
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分子遺伝学・分子生理学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
石渡 信一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10130866)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 生体運動モデル / 筋原線維 / 滑り運動 / アクチンフィラメント / ミオシンフィラメント / ゲルゾリン / 筋フィラメントの多重ねじれ |
研究概要 |
生体運動の分子メカニズムの研究が、新しい局面を迎えている。そこで大きな役割を演じているのは、ミオシン分子を吸着させたガラス表面上でアクチンフィラメントの滑り運動を起こさせるという、in vitro運動系である。ところがこの系は、ミオシン分子がランダムに分散したもので、筋線維のような配向系のモデルとしては不十分である。そこで我々は、分子配向したin vitro運動系の開発を試みた。まず第一に、(1)アクチン切断タンパク質ゲルゾリンによって筋原線維からアクチンフィラメントを選択的に除去し、残ったA帯を、ミオシンフィラメントが配向したモデル配向系として用いた。その結果、蛍光標識したアクチンファラメントは、A帯(ミオシンフィラメント)表面の一端から他端へとほぼ等速度で運動することが分かった。ミオシン分子の配列はA帯中央部を境にして逆向きだが、アクチンフィラメントの運動性は、このミオシン分子の配列の違いによって影響を受けないことになる。用いた筋原線維は、A帯の短いウサギの腸腰筋とA帯の長いアメリカザリガニ爪の筋肉であり、ともに骨格筋である。今後は、一本のアクチンフィラメントがA帯内部を滑り運動できるようにし、より一層生体系に近いモデル系にしたい。つぎに、(2)滑り運動するアクチンフィラメントが回転運動するか否かを検証する目的で、通常のガラス表面上でのin vitro運動系を工夫した。すなわち、アクチンフィラメント先端部がガラス表面に付着するようにし、さらに後端部がHMM(ミオシン分子の活性断片)トラック(Toyo shimaらの開発)の上を滑り運動するようにした。すると、フィラメントの中間部が弛んだ後、左巻ラセンを経て、DNAで見られるような多重ねじれが形成された。この事実はin vitro運動に際して右巻トルクがフィラメントに作用することを示している。これによって、力発生機構を理解する上での一つの手がかりが得られた。
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