研究課題/領域番号 |
02680218
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体物性学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
美宅 成樹 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10107542)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1990年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 膜タンパク質 / バクテリオロドプシン / 変性 / キネティクス / 疎水性相互作用 / 水素結合 / 構造形成 |
研究概要 |
膜タンパク質系は機能的に大変高度なものが多い。しかし、膜タンパク質の構造形成についてはまだ情報が乏しい状態である。つまり、X線回析など構造解析が進んでいないだけではなく、構造形成機構を調べるための変性実験などもまだほとんで行われていない。そこで本研究では、バクテリオロドプシンを例として、膜タンパク質の変性挙動を詳細に調べ、膜タンパク質の立体構造形成機構を明らかにすることを目的としている。 変性実験において重要なことは、次の2つのことを明らかにすることである。1つは変性状態の構造がどういう構造をとっているか、もう1つは変性するときにどういう結合が切れるかということである。前者、つまり変性状態の構造の特徴を明らかにするには円二色性(CD)、蛍光、光吸収などのスペクトル測定を用いる。バクテリオロドプシンはレチナ-ルを含んでおり、その光吸収だけでも変性点を検出することができる。そして、二次構造の有無、三次構造の有無などは主としてCD測定により評価する。後者には、親水基や疎水基などが異なる種々の有機溶媒を用い、それらの比較から相互作用を推定する。 平衡状態の研究から、アルコ-ルなどの有機溶媒による変性には膜内の水素結合性基の濃度が本質的であり、変性時には三次構造が壊れることがわかった。このことから、三次構造の形成には水素結合が重要である。さらに、熱変性のキネティクスの測定を種々の温度で行った結果、活性化エネルギ-は約30kcal/molであった。それを水素結合の数に換算すると、10個くらいとなり、最近わかったバクテリオロドプシンの分子構造からの評価とほぼ同じである。このことからも膜タンパク質の立体構造の形成には膜内の水素結合が重要であるということが確認された。
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