研究概要 |
中学校理科気象領域の学習は,いわゆる観測気象から探究的な気象学習へと大きく改められている。そこで,この研究では,一人一人の生徒に実施させる気象観測を開発した。主なものは,次のようである。 (1) 個別用の気温の測定場:温度計に通風のよし筒をつけたものであるが、個別的に観測し,等温線を描かせることができた。 (2) 個別用の雨量計:1lのプラボトルを切って,上部をロウトし,下部を貯水びんとしたもの。一人一人につくらせて,各家庭に設置し,等雨量線図を作成した。 (3) 霧・前線のモデル発生器:新しく加えられた霧の発生までできる水そうの開発を行った。生徒は大変興味をもって学習した。 (4) 個別用の雲発生実験の工夫:1lのプラボトルに,大型の注射器(50ml)をつけ,押し引きのときの内部の変化をみるものである。危険がなく,一人一人に実施できる。 次に,自記による気象観測結果と天気図,気象衛星画像の連係を図る学習を試みた。自記は,現在,水晶発振子を用いているので精確で扱い易い。附属中の実践では,前線の移動を計算し,校庭の観測記録との比較を行い,1〜2時間の誤差で通過していくことが判明した。 雪や降雨のモデル実験には,アイスクリ-ムストッカ-が有効であることがわかった。気温は,ー8〜15℃ぐらいのところが 結晶の成長がみられた。水蒸気の補給をすることによって,成長の度合が異なることなど多くの課題が残ったものの,雪,雨の成因等の実験に,このアイスクリ-ムストッカ-は,極めて有効であることが判明した。 おお,この研究で開発した個別用の気温測定,雨量測定等の器具は,平成3年度発行の 文部省中学校理科 指導資料に掲載の予定である。
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