研究概要 |
集団主義的傾向を測定する集団主義下位尺度と,非個人主義的傾向を測定する非個人主義下位尺度からなる集団主義尺度を成人集団に実施した。同時にマ-ラビアンの親和欲求尺度および拒否に対する感受性尺度、スナイダ-らの独自性欲求尺度,ロ-ビンバ-グの自尊心尺度,スナイダ-のセルフ・モニタリング尺度,鎌原らの統制の所在欠度を実施した。また,SーA創造性検査も別の日に実施した。これらの諸尺度には,次の関係があることが予想された。(1)個人が自分の利益よりも集団の利益を優先させる傾向,すなわち集団主義的な傾向を示す一つの理由は,他者の存在下で,報酬を期待するためと考えられる。したがって、集団主義的な傾向の強い者ほど,親和傾向を強く示すであろう。(2)個人が自分の利益よりも集団の利益を優先させる傾向を示すもう一つの理由は,他者からの罪を恐れることであると考えられる。すなわち,傾者から拒絶されることを恐れるために,集団の利益を自分のものよりも優先させることが考えられる。したがって,集団主義的傾向の強い者ほど,拒否に対する感受性が強いと予想される。(3)集団主義的傾向の強い者ほど集団の意見に同調する傾向が強いと考えられる。そして,そのような傾向は個人の意見や行動の独自性を求める欲求とは両立しないものである。したがって,集団主義的傾向の強い者ほど,独自性欲求が低いであろう。(4)集団主義的傾向の強い者ほど,セルフ・モニタリング傾向が強い,(5)集団主義的な傾向の強い者ほど,外的統制感をもつこと,(6)集団主義的傾向の強い者ほど,創造性が低くなること,などが予想された。456名から得られたデ-タを分析したところ,上記予想の(1),(2),(3)が支持された。
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