研究概要 |
本研究は、いくつかの建物からなる建築空間の立体模型を材料とし,映像情報の提示様式を変えた場合に、建物同士の関係や全体の地図に関する空間認知がどのように変化するかを調べることを目的として行われた。対象は、大学生68人で、ほぼ男女同数の等質な4群に分けて、次のような実験を行った。 実物観察群(OBS群)では、はじめに8カ所の位置から建物(大学のキャンパス)を4分間観察し、所の模型の板を用いてその配置図を再構成させた。その後、隣室に移り、キャンパスの模型を前に座り、対面位置のモニタ-テレビに映る画像がその模型をある位置から見たものかどうかについてキ-押しでイエス/ノ-判断を求めた。反応時間及び反応内容が自動的に記録され、全部で38試行が実施された。 ビデオ観察群(VTR群)では、実物の観察のかわりに、建物をビデオカメラで撮映したテ-プ(2分20秒)を早送り・巻戻し・一時停止機能を用いて4分間観察させた。他はOBS条件と同一である。 コンピュ-タ・グラフィックス観察群(CG群)では、実物の観察のかわりに、3・D PERSというソフトウェアで作成したコンピュ-タ・グラフィックスの画面を、キ-ボ-ド入力により接近・後退と回転移動で動かしながら4分間観察させた。他はOBS条件と同一である。 さらに、統制群(C群)を用意した。C群は、最初のキャンパス観察の部分がなく、38試行の視点課題(OBS群の説明参照)のみを実施し、その後に再構成課題を行わせた。 4群とも、空間的能力を調べるため京大NX_<15ー>知能検査の3つの下位検査と、方向感覚質問紙をあわせて実施した。 実験の実施は終了したが、デ-タ分析については未だ終了していない部分がある。
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