研究概要 |
人が意識的には感知出来ない刺激が生体に与える影響を調べるため、本年度は人には聞こえない超音波が脳波に与える影響について調べる実験を行なった。実験内容は次のとおりである。 刺激提示は、MSーQuick BasicにてPC9801ーDA用に作成されたソフトウェアによりコントロ-ルし、平均刺激間隔を30秒間、平均提示時間を30秒間、それぞれ±5秒間の範囲でランダムに変化するよう設定した。提示刺激はその振幅がシムソイダルな曲線で上昇し、200msでピ-クに達するようソフトウェアにて設計した。下降時点も同様とした。提示した聴覚刺激の周内数は200Hz,2KHzと20KHzの3種類でヘッドフォンを通じて提示し、提示順位はランダムとした。刺激順位と刺激間隔、刺激提示時間および刺激周波数は、ディスクに収録した。 脳波の記録環境は、外音部分遮蔽シ-ルドボックス内で室温をほぼ一定とし、被験者をリクライニング椅子に着席させ、閉眼にて記録した。記録指標は、脳波記録国際基準(10ー20法)に準じF3,C3,O1とA2(右耳たぶ)に装着したAg/AgCl電極により単極導出した。脳波記録と並行して脳波ア-ティファクト除去のための左右眼球運動および心電図を記録した。 記録した脳波はその振幅を12ビット、100Hz(10ms間隔)でサンプリングした上でFFTにかけた。その結果20KHzの高周波音の提示に対し、7ー8Hzのslow αと6ー7Hzのfast θが増加することが示された。現在被験者数を増やしてさらなる分析を行なっているところである。
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