本研究のねらいは、文部省認定社会通信教育の教材および指導法を分析し、通信教育の特徴を生かした生涯学習支援の方策を研究することにある。 印刷教材に関しては、ごく一部の教材を分析したにすぎないが、情報の伝達・提供が多く学習者自身にその成果や評価が困難であること、したがって、学習のフィ-ドバックとしての添削指導などが要請される。しかし、大学通信教育の印刷教材と比べれば、方法上の工法がなされている。文部大臣による認定が実施団体に改善を促していると思われる。しかし、分析の対象が少ないので、今後も対象をふやしたり分析の基準を検討する必要があると判断している。 受講生(成績優秀者)へのアンケ-ト調査の結果は、印刷教材についても指導法についてもおおむね良好であった。回答率は7割で自由表記も多彩な意見を提供してくれ、意欲的で自立的な学習者であった。しかし、この受講生は働きざかりの男子会社員が多く、自由な時間や場所を活用して、熱心に学習していた。ただし、高学歴、通信教育の経験者が一般より高い人々ではあった。 印刷教材に対する評価は5点法で4点に近く、学習指導の実際(添削や講評など)についてはさらに高い。ただし、事務系、技術系、生活技術・教養系には落差があり、しかも、実施団体や指導者によって異なる評価がみられる。批判や要望としては、活字の大きさなどの教材の形態の改善、インストラクタ-の質的向上、学習指導の会(スク-リングなど)や受講生同士の集りをふやしてほしい、などがみられた。しかし、基本的には学習者の例に学ぶ意欲がないと継続がむずかしいという声が多かった。 印刷教材の改善によっては生涯学習の一支援策となりうる。
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