研究概要 |
1.わが国における金融仲介機関の活動とりわけその代表たる銀行業にあっては,1990年代前半に予定されている公的規制緩和にもとづく金融自由化が従前以上に市場競争の拡大と高度化をもたらすことが見込まれる。と同時に,その対応としての経営計画と行動内容が検討対象となっている。 2.各種業態別銀行群において,企業内部組織の経営効率すなわちXー効率の向上・増大が銀行の各種金融サ-ビスの生産費用節約ないし原価低減目標と相俟って短期ならびに長期の経営計画策定に事業ドメインの決定と並んで重要な位置を占める。 3.国民経済的視点での市場効率改善は,自由化による個別銀行間ないし業種・業態間市場競争水準の高度化等に依存するものとなる。また,これは内部効率の増大や競争維持・公正取引等の政策運営とも関係するものである。 4.企業の市場競争戦略に対する経営経済学的接近として,企業組織とその管理にもとづく視角では,事業多角化・分権主義的管理・人材多能化戦略といった企業行動スキ-ムがあげられる。 5.総合金融機関化ならびに地理的拡大化戦略軸における競争戦略領域は,主として前者に商業および投資銀行業務,後者に直営の全国および海外営業ネットワ-キングを有するもので,業態としては都市銀行とりわけ上位行が位置づけられる。 6.これと対比されるべき領域の両軸は,事業・特化と地域主義的営業展開の方向に特徴づけられ,前者として預貸業務を中心とする中小企業や家計部門向け商業銀行業務を有するもので,信用金庫や第2地方銀行(旧相互銀行)の各業態が対応される。 7.また,これらの中間的領域群としては,信託取行,下位都銀・上位地銀などによってそれぞれ構成さりる諸領域があげられ,そこには例えばス-パ-・リ-ジョナルバイキングなども含められる。 8.組織と戦略に関しては,マ-ケット・コンテスタビリティならびにスコ-プ・エコノミ-ズとの関連にもとづく一層の分析が,残された諸課題への取組みと共に継続して行なわれることが期待されるところである。
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