研究課題/領域番号 |
02804020
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
中村 勝弘 福岡工業大学, 工学部, 教授 (50140801)
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研究分担者 |
長谷川 洋 京都大学, 理学部, 助教授 (00025264)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 量子系カオス / 準位統計 / ビリヤ-ド / S行列 / 2次元電子ガス |
研究概要 |
カオスの量子力学に関連して、以下の基礎および応用研究をおこなった。 1.「準位の曲率分布の統計」 カオスを示す系の量子ハミルトニアンは、Ho+τVの形に書きあらわされる。Hoは可積分項、Vは非可積分項で、τはカオスの強さをあらわす。このハミルトニアンの固有値問題を考えると、固有値と固有状態は、τに依存した力学変数とみなせる。この力学変数は、カロデェロ・モ-ザ-の力学系の運動方程式にしたがうことがわかる。この力学系の統計力学を建設することにより、ランダム行列の結果(例えば、準位統計)を再現するだけではなく、準位の曲率(τについて2階微分)の分布についても、ユニバ-サルな分布則を導くことに成功した。 2.「量子ビリヤ-ドと磁気伝導」 量子カオスの固体物理への応用の突破口として、磁場の作用するビリヤ-ド内の電子ガスのS行列と磁気伝導を考察した。従来のビリヤ-ドは閉鎖系であるが、ここでは、壁の2個所に穴をあけ、電流の流れるリ-ド線をつける。この問題は量子細線の問題と似ているが、ここでは、リ-ド線の巾に比べ、ビリヤ-ドの巾の方が大きい。基底関数として、propagating waveとevanescent waveを準備し、系全体で連続かつ、なめらかな解を数値的に求め、S行列を計算した。ユニタリティを保証するためには、evanescent wave(端状態)を異常に多く取り込む必要があることが判明した。円状の可積分ビリヤ-ドと楕円状のカオス的ビリヤ-ドとでS行列の値に多大な差が見られる。量子細線の場合と異なり、系の可積分・非可積分性がS行列の値を左右することがわかった。電気伝導度の計算については、まだ、計算の途中である。
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