研究課題/領域番号 |
02804033
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
林 久治 理化学研究所, 分子光化学研究室, 主任研究員 (50087508)
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研究分担者 |
若狭 雅信 理化学研究所, 分子光化学研究室, 研究員 (40202410)
坂口 喜生 理化学研究所, 分子光化学研究室, 副主任研究員 (30167423)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1991年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1990年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ラジカル / ラジカル対 / 磁場効果 / 有機金属化合物 / ミセル / ゲルミルラジカル / シリルラジカル / 三重項状態 / レ-ザ-ホトリシス / スピンー軌道相互作用 |
研究概要 |
昨年度の研究をさらに発展させ、第三周期以上の重原子をラジカル中心とする含む反応系で磁場効果を検出することを目的として、溶液中の一連の有機金属化合物の光化学反応に対する磁場効果に関する実験的研究を行った。テトラフェニルシラン(1)、テトラフェニルゲルマン(2)、メチルトリフェニルゲルマン(3)、ジメチルジフェニルゲルマン(4)のブリ-ジ35ミセル溶液またはオイルエマルジョンをナノ秒レ-ザ-光で照射すると、SiーCまたはGeーC結合が解離し、シリルラジカルまたはゲルミルラジカルによる過渡吸収が観測される。1ー3においては、1Tの磁場により、ラジカル対の寿命は52ー80%に減少し、散逸ラジカルの収量は1.05ー1.18倍になることを見いだした。しかし、4においては磁場変化が観測されなかった。従って、前者では反応は三重項状態から起こり、後者では一重項状態から起こることが分かった。三重項増感剤を用いると、直接励起の時と同程度の磁場変化が3でも4でも観測された。また、光化学反応生成物の収量、および収量の磁場変化を測定し、光解離機構を決定した。 次に、ヘキサメチルジシランー芳香族ニトリルの光誘起電子移動反応における磁場効果をナノ秒レ-ザ-励起で研究した。レ-ザ-励起後、ニトリルの陰イオンラジカルによる過渡吸収が観測される。pーおよびoージシアノベンゼンの場合には散逸ラジカルの収量が1.35Tの磁場により各々23%および18%増加することが分かった。 本研究では、SiやGeのような比較的重い原子をラジカル中心として含む反応系において、光化学反応初期過程に対する比較的大きい磁場効果を示す系を発見することが出来た。本成果は、これらの原子の磁気同立体濃縮に発展するものと期待できる。
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