研究概要 |
1.ゾウリムシ(Paramecium caudatum)の大核を単離し、それをマウスに3回注射後、脾臓細胞とマウスミエロ-マ細胞(NSー1)を細胞融合させて、ハイブリド-マを作った。そのハイブリド-マ培養上清を間接蛍光抗体法でアッセイして、ゾウリムシ大核周辺を染める抗体産生ハイブリド-マを限界希釈法でクロ-ニングした。その結果、目的のハイブリド-マ、MAMー1、を得た。 2.MAMー1の抗原の分子量は、SDSーPAGEのイムノブロットで、約70kDaであった。 3.核分化過程での抗原の発現時期を間接蛍光抗体法では調べると、受精核が3回分裂した8個の核の4個が大核原基に形態的に分化した後の若い大核原基の核膜に抗原が現れた。以後、抗原は大核核膜に細胞周期を通じて存在し続けた。抗原は小核には認められなかった。 4.間接蛍光抗体法で、抗原の種特異性を調べる結果、調べた、P.caudatum,P.jenningsiの全ての株の大核核膜には抗原が認められたが、P.bursaria,Tetrahymena thermophila,T.pyriformisには抗原が認められなかった。 この研究によって、大核(体細胞的核)と小核(生殖核)の核膜が、核分化過程初期に分化することが明かになった。今後は、抗原が核膜の細胞質側とクロマチン側のどちらに存在するかを免疫電顕で明かにし、抗原が核ラミンに属するのかどうかを明かにする。さらに、抗原を精製し、一次構造と機能を調べたい。
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