研究課題/領域番号 |
02804066
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
永田 功 (財)東京都神経科学総合研究所, 遺伝学研究部門, 主事研究員 (30124415)
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研究分担者 |
中辻 憲夫 国立遺伝学研究所, 遺伝実験生物保存研究センター・室長, 教授
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1990年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 中枢神経系ニュ-ロン / 細胞移動 / コンタクトガイダンス / 直交性 / ニュ-ロンーニュ-ロン相互作用 / 人工細胞外マトリックス / 培養 / オリエンテ-ション / 神経突起 / ニュ-ロンニュ-ロン相互作用 |
研究概要 |
われわれは、小脳皮質を小さな外植体として培養(微小外植体培養)した時、顆粒細胞が並列した線維の束の上でこれと直角方向に移動することを世界ではじめて見い出した。本研究では、"直交性コンタクトガイダンス"と名付けたこの現象について、1)この現象が小脳以外のニュ-ロンにも存在するのかどうか、解離ニュ-ロンを異種の線維束の上で培養して調べる 2)どのようなメカニズムで起きているかについて実験を行い、当初の研究目的を充分に達成するとともに、あらたな研究目標を設定することができた。1)中枢神経系のすべての種類の未分化なニュ-ロン(神経芽細胞)がその突起を並列した線維束に対して直角方向に伸ばし、あるニュ-ロンは直交移動することが判った。これに対し、末梢神経のニュ-ロンにはこの性質がなかった。したがって、この直交性コンタクトガイダンスは中枢神経系ニュ-ロンに特異的であり、直交する組織構築に富む脳の形態形成全般にかかわる重要な性質であることが示唆された。この成果は国際専門誌Development(1991)に掲載された。2)石英ガラスの表面に微細な溝を並列するように加工した人工細胞外マトリックスを線維束の物理的なモデルとして考え、その上にさまざまな種類の解離したニュ-ロンを培養し、神経突起の出る方向を計測した。その結果、中枢神経系ニュ-ロンは線維束の上よりもその頻度は低いが明瞭な直交性を示し、末梢神経のニュ-ロンは直交性を示さなかった。いずれのニュ-ロンでも直交性は凹凸の幅と間隔が1ミクロン、深と0.5ミクロンのマトリックスの上で最も高かった。このサイズのマトリックスの表面構造は並列する線維束のそれに近似しているので、中枢神経系ニュ-ロンは直交する際に、微細な凹凸が平行に密に繰り返して並ぶという物理的構造を認識していることが示唆された。これらの成果は神経科学学会(1991)で発表され、国際発生神経科学会(1992)で発表予定である。また、論文は投稿準備中である。
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