研究課題/領域番号 |
02805003
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
上野 信雄 千葉大学, 工学部, 助教授 (40111413)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1991年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 有機固体薄膜 / 電子透過 / 電子散乱 / ホット電子 / バンド構造 / 有効質量 / 伝導帯 / 電子輸送 / 低速電子透過 / 有機半導体 / 超薄膜 / 配向分子薄膜 / 電子状態 |
研究概要 |
本研究では、主としてバルクでの結晶構造が知られるCuーphthalocyanine(CuPc)を試料とし、その薄膜の分子・結晶配向性とホット電子の注入・輸送等の超薄膜物性に関する情報を、低エネルギ-電子透過(LEET)法を用いて得ることを目的として研究を行い、以下のような成果を得た。 αーform,βーformおよびアモルファス状態のCuPc膜に対してLEET実験を行った結果、その膜構造によってLEETスペクトル構造は大きく異なることがわかった。一方、低速電子エネルギ-損失や光学吸収から得られた励起子のエネルギ-とLEETスペクトル構造の入射電子エネルギ-位置との間に相関は観測されなかった。したがって、LEETスペクトル構造が膜の幾何学的構造を反映したものであり、その構造は電子の弾性散乱過程によって決定されるものであることがわかった。 室温のCu基板上に成長させた蒸着膜に対して得られるLEETスペクトル構造の入射電子エネルギ-位置は、その蒸着条件や膜厚に依存せずほぼ一定であることから、Cu基板上のCuPc蒸着膜の配向性は、蒸着条件・膜厚によらず一定で、αーformーbーc平面が基板表面に対して平行になるような結晶配向性をもつことがわかった。また、スペクトル構造の強度は膜成長後に行う熱処理によって大きくなり、熱処理によって、より膜構造上の欠陥の少ない膜に変化した。さらに超高真空中で膜を成長させる分子線蒸着法によって構造欠陥の少ない膜が得られることもわかった。 膜の配向性によって透過電流の入射電子エネルギ-依存性は大きく変化し、アモルファス状態の膜においては、0〜1eV程度の電子に対する透過電流は、入射電流の約90%にも達し、これらの電子のアモルファス膜への実効的な注入効率(90%)が、結晶性の膜への注入効率(50〜60%)に比べ高いことがわかった。これは結晶膜では、後述のように、電子の干渉性弾性散乱が起こるためだと考えられる。 入射電子が試料膜のブリルアンゾ-ン端においてバンドギャップ反射されるために、透過電流スペクトルに、透過電流が極小となる入射電子エネルギ-位置が存在すると考えることによって、LEETスペクトル構造を矛盾なく説明することができ、0〜6eV程度のエネルギ-領域の膜内ホット電子が自由電子的であるという結論が得られた。また、αーform CuPc蒸着膜内の(h00)面に垂直な方向における、ホット電子の有効質量は、電子の静止質量をm_0として2.2_2×m_0それらの電子に対する膜内ポテンシャルはー1.3_3eV程度であると推定された。
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