研究概要 |
本研究は気泡流中におかれた翼周りの境界層剥離と気泡の挙動の関係を明らかにするために, 1.翼面のごく近傍でのボイド率の測定を行うために,翼面に光ファイバ-を埋めた,ボイド率計測システムを開発する。 2.高速度カメラにより翼周りの低ボイド率状態の流れ場を撮影し,画像処理を行い,翼近傍での気泡の挙動を明らかにする。 3.翼周りの剥離域内での気泡の挙動を解明する。 の3つの目標に従って行われてきた。 1については,光ファイバ-端面を気泡が通過したときの反射光を光電素子に導き微弱な電流信号を取り出す増幅回路およびその信号処理システムの設計製作及び検定実験をおこない,光ファイバ-端面近傍を通過する気泡の検知およびボイド率の算出が可能になった。しかし,反射光信号が極めて微弱であるために信号のS/N比が悪く,また,気泡の端面からの距離による反射率の変化がボイド率の算出の誤差として大きくなるためにまだ十分に実用の段階には至っておらず今後の研究課題である。2については,気泡と翼面境界層との干渉過程や翼前縁近傍における気泡のスリップ運動などについて多くの知見を得た,また,翼周りの気泡の集積過程を測定するための画像処理ソフトを開発し,点電極プロ-ブによる翼周り気泡分布と突き合わせることによって,このソフトの有用性を示した。しかし,画像デ-タが膨大なために現在解析中であり,ソフトの開発も継続中である。なおこの上の解析には,現有の画像処理装置では処理能力に限界があり,もっと処理能力の高い画像処理装置を必要としている。3については,翼周りの圧力分布の測定やディフュ-ザによる壁面圧力分布の測定から二相流では単相流と異なり剥離域内にかなり速い流れ場を形成することが解った。
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