研究概要 |
本研究では先ずプラスチック光ファイバアイソレ-タの基本となるプラスチックの磁気光学性能指数を高めるため,これに反磁性有機分子をド-プした試料のベルデ定数Vを測定した.その結果,高温液晶S1131をド-プするとV値が120%増加することを初めて見いだした.次いでこのプラスチックロッドを円箇形磁石内に挿入した短波長域用の光アイソレ-タを試作し,Arレ-ザの波長488nm光に対して消光比15〜20dBのアイソレ-ション特性が得られることを初めて明らかにした(Opt.Comm.1991に掲載決定).挿入損は今のところ6〜8dBとまだ大きいが,これはプラスチック端面への無反射コ-ティングや試料の複屈折成分の除去などによって低減可能である.ここで得られた磁気光学的プラスチックロッド試料の直径1mmφのファイバ化を現在進めており,光ファイバ型アイソレ-タの実現も可能となるであろう. さらに,本研究では薄膜導波路型光アイソレ-タについても検討を加えた.この場合,非相反光モ-ド変換部と相反光モ-ド変換部の組合せが必要となるが,ここでは今までにない旋光性高分子薄膜導波路型の相反モ-ド変換器の作成とその動作実験および解析を試みてみた.この素子は旋光性有機材料ド-ププラスチックをガラス基板などにスピンコ-トすることによッて作成できるが,これに488nmArレ-ザ光をプリズム結合で結合導波させたとき,入射TEモ-ド光が伝搬とともにTMモ-ド光に変換され,導波路長50mm程度でほぼ100%のモ-ド変換が達成可能なことを初めて明かにすることができた(応用物理講演集).この素子も低損失化を図っていく必要はあるが,従来の非常に高価な無機磁気光学結晶を用いるものと比較して格段に安価で素子作成も容易などの特徴を有するため,実用的価値も高いものと考えられる.
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