| 研究概要 |
既に開発をスタートし,その一部を短時間降雨予測に利用可能とした降雨の不安定場モデルを,計画降雨の算定に利用可能なHomogeneousな確率構造を持つ場として拡張を計った。すなわち,まずより広域に広がる降雨域にも適用可能とするために,広域降雨の代表例として台風降雨をとり挙げ,降雨場の基本となる台風まわりの圧力場および風速場に関し,指数形の圧力から同定する手法を開発した。次に,不安定場モデルそのものを水蒸気の鉛直輸送を考慮したものに発展させた。先に述べた風速場はメソαスケールに属する風速場の算定には,高分解能の情報の提供できるレーダーの利用が考えられる。そこで,3次元レーダーのエコー強度情報からメソβ〜γスケールでの3次元での3次元風速の3次元分布を推定する手法の開発を行ない,定性的に良好な結果が得られただけでなく,ドップラーレーダーやMVレーダーによって直接観測される大気風速を真値とした精度調査から,定性的ににも有効であると発展させるために,日本全域への適用も可能な手法へと発展させるために,日本全域への適用も試み,良好な結果を得た。また,その際に必要な広域での3次元降水分布を,2次元レーダー情報から推定する手法もあわせて開発した。
以上の手法および推定結果を土台にして,沖縄レーダーによってとらえられた台風を含む幾つかの降雨事例につき,地形の影響を受けていない降雨場の確率構造解析を行ない,降雨セルの寿命や移動特性等のいくつかの確率構造を明らかにし,一連の手法を結合して,計画降雨算定手法へと発展させる十分な土台を築いた。
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