研究概要 |
1.人工衛星CCDラインスキャナー画像,人工衛星CCDカメラ画像は画角が非常に狭く,かつ撮影高度に比べて地表面の凹凸が非常に小さいので,通常の中心投影幾何学に基づく解析理論では未知標定要素間の相関が非常に高くなって高精度な解析が行なえないという欠点があった。そこで,本研究ではアッフィン投影幾何学という全く新しい概念に基づく画像解析理論を構築し,上記の難点を克服して人工衛星画像解析が非常に高精度で行なえる手法を確立した。 2.アッフィン投影幾何学に基づく画像解析理論は人工衛星画像の解析問題のみならず,工学的に非常に重要な微小物体の超精密3次元計測にも適用可能なことを確かめ,種々のシミュレーションモデルを利用してその実証的特性を調査した。その結果,アッフィン画像解析理論を利用した新しいタイプの解析図化機の設計製作が可能であることがわかった。さらに,解析精度を向上させる方法として,アッフィン投影幾何学に対応するフリーネット理論(分散最小解)を誘導し,2次元画像解析の場合に対する12個のフリーネットベクトルを見いだした。また,アッフィン画像解析理論はズームレンズCCDカメラ画像の解析に非常に適していることを種々のシミュレーションモデルにより確かめ,土木構造物の施工・維持管理のためにリアルタイムに被写体の3次元情報を提供できるシステムを構築する基礎を確立した。 3.人工衛星レーダー画像の解析問題について理論的考察を行ない,斜距離投影原理を用いて撮影された1次元画像の集合体(通常のレーダー画像)の一般標定理論を構築すると共に幾何学的諸特性を明らかにした。また,実レーダー画像が撮影される状態(レーダー画像の標定要素間に拘束のある特殊ケース)における画像解析問題の幾何学的諸特性をポテンシャル理論を用いて解析し,種々の知見を得た。さらに,人工衛星レーダー画像のように撮影条件が劣悪な画像(撮影高度に対して地表面の凹凸が極端の小さい)を解析する場合必要な地上座標の高精度近似値をアッフィン投影幾何学を利用して獲得する方法についても考察し,実用的なレーダー画像の解析手法を開発するための手掛かりを得た。
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