研究概要 |
本研究では、磁性材料や耐熱材料として開発が期待される金属間化合物Fe_3Al,及び電子材料への応用が望まれる金属間化合物CuAuの表面よりB,V,Ni,あるいはTiを拡散させた後,SIMSを用いて深さ方向の濃度分析を行い,B,V,Ni,あるいはTiの拡散係数,アイソト-プ効果を求めた。つぎに得られたデ-タを検討し,低温における金属間化合物Fe_3AlのB2→DO_3規則化,及びCuAuのα→Llo規則化に伴うV,V,NiあるいはTiの拡散機構の変化を明らかにした。具体的には先ず,金属間化合物Fe_<0.74>Al_<0.26>及びCuAuを高周波真空溶解により作製した。つづいて,作製した金属間化合物の表面を研磨し、研磨面をB,V,NiあるいはTiで蒸着により被覆した後,被覆層をそれぞれの金属間化合物でさらに被覆した。つぎに真空炉を用いて、低温から高温までの広い温度範囲で拡散処理し,SIMSを用いて深さ方向のB,V,Ni及びTiの濃度分析を行った。その結果,Fe_<0.74>Al_<0.26>においては,B,V,Tiの拡散係数はB2→DO_3規則化が起こる温度以下ではこの温度以上からの外挿値よりも大きくなり,Niの拡散係数は外挿値よりも小さくなることが分かった。B,V,Tiの拡散のための活性化エネルギ-はB_2→DO_3規則化に伴い減少を続けるのに対して,Niのそれは大きくなり原子の種類と規則化によって拡散機構が変化することが明らかとなった。Bのアイソト-プ効果は全温度領域で0.2程度を示し,拡散が強い相関のある原子移動機構に基づいていることを示した。さらに,CuAuにおいてはBの拡散係数はAl→Llo規則化が起こる温度以下ではこの温度以上からの外挿値よりも小さくならず,アイソト-プ効果はAl→Llo規則化に伴い0.1から0.8程度まで増加する等,拡散機構が規則化によって大きく変化することが明らかとなった。
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