研究課題/領域番号 |
02805108
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 義勝 京都大学, 工学部, 助手 (20093726)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1990年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ポルフィリン / 金属ポルフィリン / 水溶性金属ポルフィリン / 光触媒反応 / 光酸化反応 / 電子移動 |
研究概要 |
本研究の究極の目標は、水を電子供与体とし炭酸ガスを電子受容体とする種々の有機光触媒反応の発見、及び、そのための金属錯体系光増感剤の構築である。本研究課題では、この第一段階として、水溶性鉄ポルフィリンの水溶液と可視光を用いて、水を電子源・酸素源とした新しい活性酸素種生成光反応の開発を目指した。 ポルフィリンは種々の反応により活性酸素種を発生させうることが報告されている。これらのうち、酸素分子の存在を必要としないヒドロキソ錯体の光反応が、新しい光触媒有機反応の開発という観点から興味深い。このために私は、カチオン性テトラ(4ーNーメチルピリジル)ポルフィリン鉄錯体Fe(III)TMPyPを触媒量含む1,2ージオ-ル類やスチルベン類の含水アセトニトリル溶液の可視光照射を行い、これらの基質が高収率で酸化されることを見つけた。Fe(III)TPPを含む有機溶媒中ではこれらの反応は起こらない。本反応は非常に短寿命な鉄ポルフィリン錯体による増感反応であるから光化学的には予想外の反応であり、また、水溶液中の有機反応という点で生物化学的にも多くの知見を与える反応である。C1置換基を有するビスポケット型のFeTMPyP誘導体を初めて合成し、本触媒はFeTMPyPよりも耐久性を有し、しかも、基質特異性即ち分子認識能も優れている事が明らかになった。 本反応は主として基質から鉄ポルフィリン錯体への電子移動を経る機構と考えられるが、一部、水からの電子移動、或は、高反応性のオキソ鉄錯体の生成を示唆する実験結果も得られているので尚検討中である。更に、本触媒系を用いて多電子酸化還元や高度の分子認識を達成するために、新しいFeTMPyP誘導体の合成、ヌクレオシドなどの選択的開裂反応、シリカゲル担持FeTMPyP触媒による酸化反応などを研究している。以上のように、本年度は所期の目的に向かってかなり前進ができ、それには本科研費の援助により購入したキャピラリ-ガスクロが多大な助けになった。
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