研究概要 |
硝酸二アンモニウムセリウムIII四水和物を酸化還元触媒として用い,反応温度を一定にしてCSTRで,ベロ-ゾフ・ジャボチンスキ-反応を行い,昨年度のフェロイン触媒の場合と比較しながら,化学振動の出現の仕方とカオスに至るル-トを調べた。分岐パラメ-タとして(1)平均滞留時間,(2)反応温度,(3)原料の臭化物イオン濃度,(4)原料中のマロン酸濃度を変えた。CSTR内の臭化物イオン濃度と酸化還元電位をそれぞれ銀・臭化銀電極と白金電極により同時測定することにより「埋め込み法」を用いずに位相解析した。その結果,臭化物イオン濃度のみの時系列デ-タで埋め込み法で位相空間軌道を描かせたアトラクタ-と臭化物イオン濃度と酸化還元電位の両時系列デ-タにより位相空間軌道を描かせたアトラクタ-はトポロジ-的には同じものであることが明かになった。カオスの出現するル-トに関しては,充分に大きい滞留時間ででは化学平衡になり化学振動は現われず,τ=21.7minの時は2種の振幅の混合振動が,τ=21.4minの時に非周期振動(カオス)が,τ=16.0minの時は単一ピ-ク規則振動が,τ=7.75minの時は8の字形アトラクタ-の振動が現われた。この非線形性の強いCSTR反応系のカオスはある規則振動の反応状態から他の規則振動の反応状態への遷移域において出現することが明かになった。これは渦流動系のカオスの出現するル-トとは異なるものであり、両者の物理現象の非線形は異なると考えられる。
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