研究概要 |
1.淡水海綿等の共生藻類の検討:各地の溜り水、湖沼等から緑色の原虫や淡水海綿を採集し、潰して顕微鏡で観察、撮影して細胞内共生藻を確認した後、ビオチン、ビタミンB_1,B_<12>を添加した無機寒天培地に画線し、照明下に培養して孤立したコロニ-を取り、Chlorella,Scenedesmus,Ankistrodesmus,Selenastrum等、明らかな真核性の緑藻を除外して緑色の小型藻類6株を得た。これらを、シクロヘキシミドを10,20,40ppm添加した無機の液体及び寒天培地に接種して照明下に培養したところ、寒天培養では10ppmの添加でも生育しなかったが、液体培養ではシクロヘキシミドを40ppm添加しても、3株について或る程度の生育が見られた。尚、次に記す方法によれば、これらはフィコビリンを含まず、対照のChlorella vulgarisはシクロヘキシミド10ppmの添加でまったく生育しなかった。 2.海産無脊椎動物随伴藻類の検討:海産の海綿、石珊瑚、軟珊瑚等を採集し、直ちに洗浄後、潰してシクロヘキシミドを20ppm添加した液体無機培地に接種して持ち帰り、照明下に培養し、発育した藻を分離して多量培養し、藻体を収穫、洗浄し、pH6.8の燐酸緩衝液中で超音波処理し、遠心分離、濾過後吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを調べた。その結果、フィコシアニンの特徴である615nmの吸収及び647nmの蛍光も、フィコエリスリンの特徴である565nmの吸収及び575nmの蛍光も認められない物4株を得た。その内2株は糸状、2株は球状藻で、いずれも分離源はウミトサカであった。 3.今後の計画:淡水産3、海産4、計7株について、詳しく調べ、これらが本当にフィコビリン色素を持たない原核藻である事が確認出来た時、正式に発表し、またシクロヘキシミド耐性とフィコビリンの検出と云う方法の組合せで更に探索を続ける予定である。
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