研究課題/領域番号 |
02806027
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
製造化学・食品
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
畑中 顯和 山口大学, 農学部, 教授 (90035098)
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研究分担者 |
松井 健二 山口大学, 農学部, 助手 (90199729)
HATANAKA Akikazu Yamaguchi University, Department of Agriculture, Professor (90035098)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1991年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1990年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 新茶 / みどりの香り / リポキシゲナ-ゼ / ヒドロペルオキシドリア-ゼ / リノ-ル酸 / αーリノレン酸 / γーリノレン酸 / チャ葉緑体チラコイド膜 |
研究概要 |
炭素数6個のアルデヒド類はチャ生葉に特有の香気成分である。報告者らはこれまでにこれらアルデヒド類はリノレン酸などの高度不飽和脂肪酸より、リポキシゲナ-ゼ、脂肪酸ヒドロペルオキシドリア-ゼよりなる酵素リレ-系によって生成することを明らかにした。本研究ではこの酵素リレ-系の発現・制御機構を解明するためまず、初年度にはこれまで精製されたことのない脂肪酸ヒドロペルオキシドリア-ゼの性質を明らかにすることを試みた。報告者らは世界に先駆けてチャ葉より脂肪酸ヒドロペルオキシドリア-ゼを均一に精製した。その結果チャ葉脂肪酸ヒドロペルオキシドリア-ゼは分子量55kDのタンパクであること、SHー基がその反応中心に存在していること、ノルジヒドログアイアレチン酸などの抗酸化剤が効果的な阻害剤であることを明らかにした。また、リノレン酸13ーヒドロペルオキシドがリノ-ル酸13ーヒドロペルオキシドの10倍以上の活性を示すことも明らかとなった。こうした酸素学的見地からアルデヒド生成を介する酵素リレ-系の実体に大きく迫った。一方、野外に於いて無傷のチャ葉がどの時期にどの程度アルデヒド類を生成しているのかについては不明であった。そこで4月から8月にかけて野外、または人工気象器内で人為的に生育温度を変化させたチャ樹より採取した無傷のチャ葉から生成されるアルデヒド類をヘッド・スペ-ス法で捕集し、その組成分析、定量を行った。また、これら無傷のチャ葉をそのまま有機溶媒で抽出し、チャ葉中に蓄積しているアルデヒド類の組成分析、定量も行った。その結果、無傷のチャ葉では生育環境の平均気温が低い値から25度へと推移する時期に一時的にアルデヒド類の生成、放散量が上昇することを見いだした。チャ葉に蓄積されたアルデヒド類も同じ時期に一時的に増加したが、興味深いことにその組成比は放散されたアルデヒド類の組成比とは明らかに異なっていた。無傷のチャ葉でのアルデヒド類生成が一時的に上昇を示す時期はアルデヒド生成を司る酵素系の活性が高まり始める時期に一致した。チャ樹の生育環境の平均気温が25度以上の場合、アルデヒド生成酵素系の活性は高いレベルで維持されるが、無傷のチャ葉でのアルデヒド類の生成は究めて低く、この酵素リレ-系には酵素活性そのもの以外の何らかの制御系が含まれていることが明らかとなった。
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