研究課題/領域番号 |
02807007
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
荒木 正介 自治医科大学, 医学部, 講師 (00118449)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1990年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 松果体 / 視細胞 / ノルアドレナリン / ロドプシン / セロトニン / 組織培養 / 神経の発生 |
研究概要 |
網膜と松果体は、個体発生的に類似の発生様式を示し、また、鳥類以下の脊椎動物では光受容という共通の機能がみられる。ところが、哺乳類松果体は内分泌器官であり、神経組織しとての特微を殆どもたない。何故、哺乳類松果体がこれらの機能や性質をもたないのかという疑問に答えるために、私は、これまでの研究に基づいて、他の中枢神経組織にはなく、哺乳類松果体で大規模にみられる末梢性交感神経の入力が松果体組織の発生・分化と深く関わっているという作業仮説を立て、この仮説を主にラット松果体の培養系で検討することにした。 これまでの研究によって、ラット新生仔の松果体を培養すると、杆状体視細胞の性質をもった細胞が多数出現し、ノルアドレナリン(NE)存在下ではその出現が抑制されることが明かとなっている。また、セロトニン陽性の内分泌細胞は、培養下では神経突起状の長い突起をもち、この突起形成はNEによって抑制される。これらの事実をもとに、以下の調査を行なった。 1.新生仔ラット松果体をコラゲネ-スで処理した場合に、最も安定した成績が得られた。その結果、種々の実験条件の比較が可能となった。2.NEによる杆状体視細胞の分化抑制効果のNE濃度依存性を調べた。20nMという低濃度で50%抑制がみられた。3.NEの効果の可逆性を調べたところ、セロトニン細胞の突起形成に対する抑制効果は可逆的である。ところが、視細胞の分化抑制効果は、培養後どの時期にNEを投与するかによって結果が異なった。すなわち、培養初期にNEを投与すると非可逆的に分化を抑制するが、培養後期に投与してもほとんど効果がなかった。4.生後ラットの各時期の松果体を培養したところ、生後5日目を境にして視細胞への分化能が急速に失われた。これは、ほぼ、交感神経の大規模な入力の始まる時期と一致している。5.塩化カリウム20mMの添加によって、視細胞の分化はほぼ抑制されるが、セロトニン細胞は影響を受けない。このことは、NEによる2つの効果が異なるメカニズによることを示す。
|