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病理形態学へのフラクタル幾何学の応用

研究課題

研究課題/領域番号 02807039
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 実験病理学
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

松尾 崇  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00165771)

研究期間 (年度) 1990 – 1991
研究課題ステータス 完了 (1991年度)
配分額 *注記
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1991年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1990年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
キーワードフラクタル / 脳血管構築 / 眼底血管像 / 蛍光眼底血管像 / 脳血管分布
研究概要

本研究は生体における形の変化を客観的および定量的に評価する方法を検討し、病理学へ応用することを目的としている。フラクタル幾何学を生体の構造に応用するためのコンピュ-タ-画像解析法の確立、および生体のいろいろな構造のフラクタル次元の測定を行った。その結果は次のようにまとめられる。
(1)科学研究費によって購入したマルチ計測ユニット、モニタ-テレビ、顕微鏡照明装置など用いて、顕微鏡の画像を直接コンピュ-タ-で画像処理できるシステムを開発した。
(2)パタ-ンの自己相似性(フラクタル性)を確かめるための画像処理プログラムを作成した。Boxーcounting法(正方形のます目により画像の分布の特徴を調べる方法)およびMassーRadius法(同心円の中の画像の分布を基にして調べる方法)の両者についてプログラムを作成した。
(3)実験動物(ネコ20匹、ウサギ2羽、ラット15匹)の脳血管内に鋳型用樹脂を注入し、その後サリチル酸メチルまたはグリセリンにより組織を透明化して血管の標本を作成した。さらに上記の画像解析により血管分布のフラクタル性を調べた。ネコの脳表の動脈では10ー120ミクロンの観測ケ-ル範囲でフラクタル次元が1.30±0.03であり、140ミクロン以上のスケ-ルでは1.79±0.02であった。ラットではそれぞれ1.18±0.03および1.74±0.02であり、小さいスケ-ル範囲での次元に有意に差が現れた。
(4)ヒト蛍光眼底血管像(13例)について同様にしてフラクタル性を調べた。この血管の分布も測定のスケ-ルによって、2つのフラクタル次元で特徴づけられることが分かった。ヒト網膜の血管は、高血圧や糖尿病性網膜症などによって拡張や蛇行を示すが、これらの変化は小さい方のフラクタル次元に主として反映され、大きい方の次元には余り反映されないことが明らかになった。血管の場合にスケ-ルによって2つの次元が出てくることは、血管の分布が「一様でないフラクタル」になっているためと考えられる。
(5)消化管粘膜の光反射像や神経細胞の樹状突起もまた1桁程度のスケ-ルでフラクタル性を示す。
以上のように、生体のいろいろな形の複雑さがフラクタル次元で表されること、眼底の血管像の変化が次元の値で定量化し得ることが明らかになった。しかし次元を測る方法によってその値に若干の違いが出ること、形の変化がどの様に次元の値に反映するのかなどの基礎的問題が今後の課題として残されている。

報告書

(3件)
  • 1991 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1990 実績報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (15件)

  • [文献書誌] Takashi Matsuo: "Characterization of bifurcating structure of blood vessels using fractal dimensions" FORMA. 5. 19-27 (1990)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 松尾 崇: "血管分布のフラクタル性について" 形の科学会報. 2月号. 55-57 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 松尾 崇: "血管の分布とフラクタル" 日本バイオレオロジ-学会年会抄録集. 81 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 松尾 崇: "血管の分布とフラクタル" 生物物理. 31. S51 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 松尾 崇: "血諏構築の部位特異性と血管病変発生機構の関連" 東京医科歯科大学難治疾患研究所年報. 18. 203-205 (1990)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 松下 貢編: "医学・生物学におけるフラクタル(分担:血管の分布とフラクタル)" 朝倉書店, 300 (1992)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takashi Matsuo and Riki Okeda: "Characterization of bifurcating structure of blood vessels using fractal dimensions." Forma. 5. 19-27 (1990)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takashi Matsuo: "Characterization of bifurcating structure of blood vessels using fractal dimensions" FORMA. 5. 19-27 (1990)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 松尾 崇: "血管分布のフラクタル性について" 形の科学会報. 2月号. 55-57 (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 松尾 崇: "血管の分布とフラクタル" 日本バイオレオロジ-学会年会抄録集. 81 (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 松尾 崇: "血管の分布とフラクタル" 生物物理. 31. S51 (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 松尾 崇: "血管構築の部位特異性と血管病変発生機構の関連" 東京医科歯科大学難治疾患研究所年報. 18. 203-205 (1990)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 松下 貢編: "医学・生物学におけるフラクタル(分担:血管の分布とフラクタル)" 朝倉書店, 300 (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] (T.Matsuo),R.Okeda,M.Takahashi and M.Funato: "Characterization of bifurcating structures of blood vessels using Fractal dimensions." FORMA. 5. 19-27 (1990)

    • 関連する報告書
      1990 実績報告書
  • [文献書誌] (松尾 崇),桶田 理喜,仲久保 正人: "血管分布のフラクタル性について" 形の科学会報. 2月号. 55-57 (1991)

    • 関連する報告書
      1990 実績報告書

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公開日: 1990-04-01   更新日: 2016-04-21  

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