研究概要 |
Polymerase chain reaction(PCR)によれば、pgオ-ダ-のDNAを数時間内にμgに増幅させることが可能である。このmethodの増幅能の高さを利用して病理切片中の微量DNAから寄生虫体の種特異DNAを探り出し、種の同定を行う方法の確立を試みた。 反応液の組成はdATP,dCTP,dGTP,dTTPを各200μM,Taq polymerase 1 unit,20mM TrisーHCl系 buffer(pH8.8),正逆方向性プライマ-、及び破検切片中の犬糸状虫、及び豚蛔虫成虫体より抽出したDNA(1ng程度)でおこなった。 DNAの抽出は材料を液体窒素中で粉砕後、TrisーHCl(pH8.0),EDTA,NaCl,SDS,proteinaseKを加え65℃にて2時間処理し、フェノ-ル/クロロホルムにて除タンパクした後、エタノ-ル沈澱を行い、TEバッファ-に溶解後、260nmの吸光度により、DNA量を測定した。一方、病理切片の場合はバラフィン包理切片(厚さ10μmを2〜3枚)をキシレンにて脱パラフィン後、エタノ-ル処理をし、以下同様の抽出を行った。 現段階における結果は、PCR産物からアガロ-ス電気泳動による数本のDNAバンドが得られるものの、バンドの明瞭さ、種間差異、バックグランドの強弱などプライマ-の適否により大きく左右されている。従って現在、数種のプライマ-を作製し、それらの内から種の指標となるべき最高のプライマ-を現在選出中である。また、PCR増幅の基本反応は1)二本鎖DNAの一本鎖化、2)プライマ-の相補的対合、3)新DNA鎖の合成の三ステップから成っている。現在、基本的には各ステップを1)94℃,1分処理、2)37℃,2分、3)72℃,3分で行っているが、それぞれのプライマ-にマッチする条件を詳しく検討中である。
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