研究概要 |
【平成2年度】胃粘液細胞におけるmucus glycoproteinの0ーglycosylationおよびacylationは胃粘液細胞リボゾ-ムにおけるtranslationの時相に一致して起こる事を確認した.1)アルコ-ルによる影響 低能度エタノ-ル(0.05ー0.1mol./L(以下Mと略す))では,粘液糖蛋白の合成および分泌を促進したが,高濃度エタノ-ル(0.5ー1.5M)では生合成を著明に低下させた.プロスタグランジンはエタノ-ルの存在下において,胃粘液糖蛋白の生合成および分泌過程を維持されると考えられた(塚田英昭,他:Prostaglandin Eー1のエタノ-ル胃粘液合成傷害に及ぼす影響.日本消化器病学会雑誌87巻10号,1990,2342ー2351).またリボゾ-ムレベルでの検討では,各標識物質の測定値自体が低く,エタノ-ルによる影響は,エタノ-ル0.5Mでは明らかではないが,1.5Mでは著明な低下が認められ,高濃度エタノ-ルによる胃粘液合成傷害は,リボゾ-ムのレベルでも起こっていることが示唆された. 【平成3年度】2)0ーglycosylationおよびacylationのどちらが先行して起こるのかの確認. acylationが先行すると思われるデ-タを得た.しかし[ ^3H]ーpalmitic acid,[ ^3H]ーgalactosamine,を使用した場合と,[ ^3H]ーpalmitic acid,[ ^<14>C]ーgalactosamineを使用した場合では実験結果に明らかな相違が認められ,現在も検討中である.3)インドメタシンによる影響インドメタシンによる胃粘液合成傷害をリボゾ-ムレベルでの合成傷害として確認することは出来なかった.4)水浸拘束ストレスによる影響 peptidylーtRNAより回収したpeptide量はコントロ-ル群に対して水浸拘束群で70%減少し,[ ^3H]ーpalmitic acid,[ ^3H]ーgalactosamineの標識率はコ30〜50%減少した.これらの結果より,水浸拘束ストレスにより,胃粘膜粘液細胞におけるtranslation,acylation,glycosylationが著明に影響を受けている事が示唆された.
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