研究課題/領域番号 |
02807091
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
堤 健 昭和大学, 医学部, 講師 (10119232)
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研究分担者 |
岡本 良夫 千葉工業大学, 電気工学科, 助教授 (20152358)
関谷 宗一郎 昭和大学, 医学部, 助手
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1992年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1991年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1990年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 冠性T波 / コンピューターシミュレーション / 心筋活動電位 / 心筋梗塞 / 両親媒性物質 / カルシウム拮抗薬 / 心電図 / コンピュ-タ-シミュレ-ション / 心室筋活動電位 |
研究概要 |
以下の成果が新たな知見として得られた。 1.コンピューターシミュレーション。(1)心筋梗塞(MI)モデル作製後、MI周囲の心筋活動電位持続時間(APD)を正常の20%以上延長させると、冠性T波に類似の波形を作製し得る。(2)(1)の条件をもとに異なった形状を有するMIを作製し、冠性T波が得られるAPD分布を明らかにした。(3)冠性T波の成立には、APD分布より決まる一次性要因に加え、MI周囲に生じる伝導遅延に基づく二次性の要因も関与することを、シミュレーションモデルにより証明した。 2.1の結果冠性T波の成立には、虚血後のAPD延長が必要と考えられた。そこでin vitro実験にてAPDの延長を観察し得る条件と、その機序について考察した。(1)虚血類似液を犬心内膜標本に灌流した後、再酸素化を行うとAPDは一過性に延長する。(2)(1)のAPD延長は、可逆性代謝抑制の程度に関係する。(3)(1)のAPD延長は、代謝抑制時に生じる細胞内Ca^<2+>過負荷に関係するが、Ca^<2+>の内向き電流との関連性はみられず。Na^+-Ca^<2+>交換機構との関連が示唆される。(4)両親媒性物質(lysophos-phatidyl choline et.c)やproteaseのような、細胞膜構造を変化させる物質を混入して標本を灌流後、再酸素化を行うとAPDの延長は長時間持続した。(5)以上の実験結果より、APDの一過性延長は狭心症後T波の、持続的延長はMI後T波変化の細胞生理的基礎を提供し得る。すなわち、虚血による細胞内環境や構造変化によりAPDが変化し、その結果冠性T波が出現すると考えられる。 3.今後の研究方向として、(1)シミュレーションモデルに心筋の異方向性を加えて、冠性T波を作製する。(2)APD延長と種々のレベルの細胞膜構造変化との関連性を分子レベルで解析し、T波に加え虚血後の再分極異常と不整脈発生に対する基礎的研究を企図する予定である。
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