研究概要 |
C3Hマウス大腿部にmurine mammary 16 adenocarcinoma asities cellsを1×10^6個皮下移植し、BEMー250/80NMR装置(2T),径2cmのサ-フェイスコイルを用い腫瘍部の ^<31>P MRSを測定した。腫瘍部では、α,β,γーATP,PCr,Pi,PDE,PMEの7つのピ-クを認めた。腫瘍径が約10mmの時点で放射線40Gyを一回照射した。放射線照射後の ^<31P> MRSナペクトルは、照射6時間後をピ-クとする一過性のPiの上昇,PCrの低下がみられ24時間後に回復し,その後PME,PDE,Piは低下,PCr,ATPは上昇する傾向を認めた。照射後10日目の腫瘍縮小率が50%以上か未満かにより二群に分け、照射前後の ^<31>P MRSパラメ-タについて検討した。照射前では両群に有意の差を認めなかったが、50%以上縮小群では,照射6時間後にPi/Total,PME/PDEは高値を示し,PCr,PDE,ATP/Total,PCr/Pi,pHは有意に低値であった。照射24時間後ではPME/Totalは低値,PCr/Totalは高値で,5日目以後PME,Pi,PDE/Totalは低値,PCr/Total,PCr/Piは高値であった。 病理組織学的には,照射6時間後は照射前と比較して腫瘍組織にほとんど変化を認めず24時間後では細胞質,核の空胞変性を示すものも出現するが,壊死範囲には差を認めなっかた。5日後では,腫瘍細胞の大部分は多核巨細胞,空胞変性を示していた。また,腫瘍径は照射後5日目までに有意な縮小を認めず,腫瘍径や病理組織学的変化が現れるより以前に, ^<31>P MRSでは照射による変化が認められ,照射効果の予測が可能であると考えられた。 POGー2026で測定した腫瘍組織酸素分圧は,照射前は3〜42mmHGとばらつきがあったが,照射直後より低下し,3〜6時間後にはほぼ5mmHg以下となり,24時間後では10mmHg以上まで回復し,その後上昇した。腫瘍組織酸素分圧とPCr/Piの変化は相似して推移し,PCr/Piは照射後の腫瘍組織酸素分圧は指標となりうる可能性が示唆された。
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