研究概要 |
1),ヒト,ラット及びマウス種属間共通抗原を認識するモノクローナル抗体RS-11(Ab_1)を免疫原として,ラット抗イディオタイプ抗体(Ab_2)を作製した。この抗イディオタイプ抗体の免疫によって,Ab_3の誘導と脾細胞中のキラー細胞活性の亢進が誘導しえた。またAb_2の免疫後にラットglioma細胞を移植すると,コントロールに比べて有意な腫瘍増殖抑制効果を認めた。この腫瘍増殖抑制効果はサプレッサーT細胞を抑制することによって増強しえた。 2),ヒト悪性脳腫瘍関連抗原(TA226)を認識するヒトモノクローナル抗体(CLN-IgG)を用いて抗イディオタイプ抗体(Idio-33)を作製した。Idio-33はB型の抗イディオタイプ抗体であった。Scidマウスを用いてヒト免疫系再構築モデルを作製し,このモデルに対してIdio-33の免疫によって,ヒトglicma細胞の腫瘍増殖抑制効果を認めさらに血清中の抗抗イディオタイプ抗体の誘導が認められた。またCLN-IgG投与患者末梢血リンパ球に対してIdio-33で刺激すると,抗抗イディオタイプ抗体が産生された。さらに末梢リンパ球のサブセットを解析すると,B細胞膜表面上のみでなく,ヘルパーT細胞膜上にも抗イディオトープが発現しており,イディオタイプネットワークにおけるT細胞の関与が示された。以上のごとく,今回の研究から抗イディオタイプ抗体を用いた脳腫瘍に対するワクチン療法または免疫療法の可能性が示された。
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