研究概要 |
I)人子宮内膜癌由来培養細胞Ishikawa(IK)、HEC-1(HEC)におけるステロイドホルモン添加時の細胞成長因子の発現の変動 エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)陽性、細胞成長因子(EGF)、細胞成長因子受容体(EGFR)陽性のIK細胞と、ER、PR陰性、EGF、EGFR陽性のHEC細胞に対し、各種濃度のEstradiol-17β(E_2)あるいは各種濃度のProgesterone(P)を添加し経時的に細胞周期の変動とEGF、EGFRの発現について検討を行った。1)IK細胞では、各種濃度のE_2添加群とも薬剤添加24時間以後G_0+G_1期細胞が軽度に増加したが、各種濃度のP添加群では変化がなかった。細胞内EGFの発現は、高濃度P添加群において薬剤添加48時間以後に対照群に比しG_0+G_1期、S期、G_2+M期細胞における細胞内EGF fluorescent intensity(EGF FI)が軽度に上昇した。細胞内EGFRは、P添加群では、P添加後48時間以後でG_0+G_1期、S期細胞における細胞内EGFR FIが軽度に低下した。2)HEC細胞では、特にP添加群で薬剤添加48時間後でG_0+G_1期細胞の著名な増加と、S期細胞の著名な減少が見られた。細胞内EGFは、特に高濃度P添加群において薬剤添加24時間以後で各細胞周期におけるEGF FIが上昇した。細胞内EGFRは、特に高濃度P添加群で薬剤添加48時間以後各細胞周期においてEGFR FIが上昇した。 II)IKにおける癌遺伝子産物C-myc,Ha-ras発現と細胞周期と関連性 C-myc,Ha-rasそれぞれのモノクローナル抗体を用いてIK細胞における癌遺伝子発現と細胞周期との関連性について検討した,その結果C-myc,Ha-rasともにG_2+M期細胞において高い発現が観察された。 III)細胞周期同調培養下における癌遺伝子の発現 Thymidine(TDR),Sodium butylate(SB)を用いて細胞周期同調時におけるC-myc,Ha-rasの発現の変化について検討を行った。 その結果C-mycの発現は、TDR、あるいはSB添加により一定の傾向を示さなかったが、Ha-rasではすべてのcycle phaseで発現が増強した。
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