研究課題/領域番号 |
02807155
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 正仁 埼玉医科大学, 産婦人科学教室, 講師 (20134570)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1990年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ヒト性腺の組織発生 / 卵巣腫瘍新分類 / 中腎説 / 中腎糸球体腫瘍 / 原始性索腫瘍 / 原始性索(Primordial sex cord) / 卵胞細索(Folliculogenous sex cord) |
研究概要 |
ヒト性腺の組織発生について、性腺内の上皮性成分は基本的には中腎由来であり、いずれの段階においても体腔上皮は性索の主要な構成要素として関与していない。すなわち、性腺の未分化期に、性腺原基に原始生殖細胞が移入するとともに、体腔上皮は重層化する。生殖ヒダの著明な隆起とともに、生殖ヒダ直下の中腎器官から細胞が出現し、それらは増殖し、索状を呈して、性腺内に取り込まれ、原始性索を形成してゆく。このとき、重層化した体腔上皮は伸展され、原始性索の形成には関与しない。卵巣、精巣ともに、これらの原始性索の発達により形成される。続いて、卵巣では、卵巣周辺部での原始性索の肥大により、原始性索は卵巣周辺部に相対的に移動し、卵胞細索を形成する。卵巣の横断面は、キノコ状になる。同時に、卵巣の基部には間質部(髄質部)が形成され、その部位に存在した中腎由来の原始性索は島状に分布する。すなわち、原始性索は消失することなく、卵巣周辺に移動して卵胞細索となり、卵巣基部に存在した原始性索から卵巣網が形成される。続いて、卵巣周辺部の生殖細胞の退縮により卵巣白膜が形成され、卵胞細索は卵巣中央部より小分割化して原始卵胞が形成される。今回、“原始性索(Primordial sex cord)"、“卵胞細索(Folliculogenous sex cord)"という用語を新たに提案した。 胎生期性腺の観察から、卵巣上皮性腫瘍の発生母体は性腺内の中腎由来細胞であり、卵巣上皮性腫瘍は中腎系組織を組織発生(模倣組織)とするとする卵巣腫瘍の新分類(中腎説)を提案した。中腎説の特徴は、1.組織発生学的分類であること、2.中腎糸球体を組織発生とする腫瘍が存在することを予測していること、3.原始性索腫瘍の分類項目を提案したこと、4.卵巣明細胞癌の組織発生について説明していること、5.卵巣ブレンナ-腫瘍(移行上皮性腫瘍)の組織発生を解明していることなどがある。
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