研究課題/領域番号 |
02807193
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
川添 豊 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80106252)
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研究分担者 |
貝谷 トヨ 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (10080201)
幸田 光復 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (60124286)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1990年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | リグニン / 木質化天然物 / 合成リグニン / 抗ウイルス性 / 抗菌性 / 免疫賦活 |
研究概要 |
リグニン成分は、パルプ産業廃棄物であり、その生物活性に関してはほとんど注目されていない。最近、松かさの水性エキスに、抗菌、抗ウイルス、免疫賦活化作用のある事が報告された。申請者らは、当該抽出物の構造研究を行った結果、その主成分はリグニン様物質である事を明らかにすると同時に、天然の木質化素材の水性抽出物により、注目に値する生理活性物質を単離し、それらの生物活性について検討を行ってきたが、本年度の当該研究で得られ成果は下記のとうりである。 (1)製紙工業で用いられる木材チップを熱水抽出後、透析して得られる高分子分画を、マウスに投与すると、病原微生物感染に対する抵抗力が増大する。例えば、slash pineからの抽出物の場合、数mg/kgの前投与により、致死量の大腸菌、緑濃菌、肺炎菌などを感染させても、全例が生存する。天然のリグニン抽出分画には、多かれ少なかれ、感染防御作用があるが、産業廃棄物であるアルカリリグニン、リグニンスルホン酸などの作用は弱い。又、合成リグニンは、数十mg/kgを投与すれば、ほぼ全例生存する。 (2)インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス性を培養MDCK細胞を用いて検討した。天然および合成リグニンともに活性を示したが、特に糖部分を水解除去した天然リグニン、および合成リグニンに極めて強い活性が見られた。この活性は、ウイルス感染後に薬物処理を行っても有効である。エイズの原因ウイルスであるHIVに対しても、CEM細胞を用いて検討した所、リグニン構造に同様の活性が見出だされた。一方、DNAウイルスであるヘルペスウイルスに対しては感染阻止作用は強いが、感染後のウイルス増殖阻止効果は見られなかった。結論として、木質化天然物から抽出される、リグニンを主成分とする分画、および分成リグニンには多彩は生物活性が期待され、今後、医薬品資源として注目すべき事を実証した。
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