研究概要 |
βー置換アラニン類生合成遺伝子のクロ-ニングとエンジニアリング 薬用植物における二次代謝を分子レベルで人為的に制御するためには,生合成遺伝子のクロ-ニングおよび発現制御の分子レベルでの理解が不可欠である.そこで植物二次代謝の代表的な系である非タンパク性βー置換アラニン類生合成の分子生物学的研究を進めている.これらのアミノ酸はOーacetylserineを基質としてシステイン合成酵素(CSase)のisozymeにより生合成される(10).そこで,ホウレンソウよりCSaseを単一に精製し,ペプチド分解したフラグメントのアミノ酸配列を決定した.得られたアミノ酸配列をもとに合成DNAプロ-ブによって,ホウレンソウ緑葉から構築したcDNAライブラリ-をスクリ-ニングし約1.3kbのインサ-トをもつcDNAクロ-ンを単離した.全塩基配列の決定の結果cDNAクロ-ンは325アミノ酸残基をコ-ドしていることが示され,ピリドキサ-ルリン酸を補酵素とする活性中心部位が予想された.今後,タンパク質工学的手法による反応機構の解明,遺伝子発現の分子機構,トランスジェニック植物での高発現および生合成遺伝子の分子進化などについて検討する予定である. まとめ 薬用植物における遺伝子操作はここで述べたように既にいくつか成功している.今後さらにより精密な分子育種を考えたとき,二次代謝遺伝子発現の細胞および分子のレベルでのより深い理解が不可欠であると考えられる.今後ますますこの方法の研究の進展が期待される.
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