研究課題/領域番号 |
02807222
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉田 克己 東北大学, 医学部, 助教授 (90166942)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1991年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1990年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 甲状腺ホルモン / 甲状腺機能亢進症 / 赤血球 / 亜鉛 / 炭酸脱水酵素 |
研究概要 |
赤血球炭酸脱水酸素Iアイソザイム(CAI)および亜鉛(Zn)濃度が、甲状腺機能異常症において数ケ月前の平均化された甲状腺機能を反映する可能性について検討した。 1.赤血球CAIおよびZn濃度は甲状腺機能亢進症で低値を示し、治療後甲状腺ホルモンの正常化に約2ケ月遅れて正常化した。また、2ケ月前の血清T4、T3濃度と最も良く相関した。更に、赤血球CAI濃度はZn濃度と非常によく相関した(r=0.95)。以上のことから、赤血球CAIおよびZnは数ケ月前の平均化された甲状腺機能を反映すると考えられた。2.赤血球CAIおよびZn濃度は甲状腺ホルモン濃度が高値を示した亜急性および無痛性甲状腺炎では正常であり、一時的にホルモンが上昇する疾患では、数ケ月間の平均化された甲状腺機能を反映する指標としての赤血球CAIおよびZn濃度は、ほとんど変動しないと考えられた。3.赤血球CAIおよびZn濃度はTSH不適切分泌症候群ではeuthyroidの例では、正常、hyperthyroidの例では低値を示した。4.lーT4の投与によりTSHが抑制されているsubclinical hyperthyroidismでは、赤血球CAIは軽度ではあるが有意に低値を示した。 以上の結果から、赤血球CAIおよびZn濃度の測定は、1.数ケ月前の甲状腺機能の把握、2.甲状腺機能亢進症治療時の長期的な経過観察、3.甲状腺機能亢進症と無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎等の一過性に甲状腺ホルモンが上昇する疾患との鑑別、4.末梢代謝の指標の一つとして甲状腺ホルモン不応症の診断などに非常に有用である。今後の研究では、甲状腺ホルモンが赤血球CAIの合成を抑制する機序について検討し、甲状腺疾患における赤血球CAI測定の意義について更に明らかにするとともに、簡便な測定法を開発し、ル-チンの検査として日常臨床の場で広く用いられるようにしたい。
|