研究概要 |
1)我々は、ヒト株化血液細胞を用いて、電気パルス法による遺伝子導入効率の検討を行った。ネオマイシン耐性遺伝子、βーガラクトシダ-ゼ遺伝子のいずれを用いた検討でも、矩形波パルスが減衰波パルスに比し導入効率は良好で、細胞障害性も少ないことが判明した。 2)ヒト株化血液細胞としてK562を用いた場合、aphidicolin,thymidine,hydroxyurea等により同調培養を行い、DNA合成期の細胞の割合を増加させることにより、βーガラクトシダ-ゼ遺伝子の導入効率を10%以上と高めることができた。 3)GーCSF,GMーCSF,ILー3を加えて4日間液体培養することにより、顆粒球系、および赤血球系前駆細胞のうち、DNA合成期にある細胞の割合( ^3Hーthymidineを用いた障害試験による)を高めることができた。 4)ヒトに骨髄前駆細胞の占める割合の高い骨髄低比重細胞(比重1.055ー1.065)に対する電気パルス法によるβーガラクトシダ-ゼ遺伝子の導入実験では、GーCSF,GMーCSF、ILー3を加えた4日間の液体培養を行うことにより、遺伝子が導入されたと考えられる青く染まるコロニ-の割合が多くなり、遺伝子導入効率の上昇が認められた。 4)以上の成績は、研究代表者が、第51および52回日本血液学会総会、第31回日本臨床血液学会総会、International Society For Experimentsl Hematology XIXth Anual Meeting(Seattle.1990)(Experimental Hematology18:712,1990)、第5回Biomedicine研究会 遺伝子治療の基礎と臨床(御殿場、1990)にて報告した。
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