研究課題/領域番号 |
02808028
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質生物化学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
榊原 隆三 長崎大学, 薬学部, 助教授 (30127229)
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研究分担者 |
石黒 正恒 長崎大学, 薬学部, 教授 (90038274)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1990年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | マウス卵母細胞 / 卵母細胞成熟 / 非分泌型リボヌクレア-ゼ / オピオイドペプチド / 妊婦尿ペプチド / 尿ペプチド / RNase |
研究概要 |
哺乳類の卵母細胞は、通常卵胞中ではその減数分裂が停止された状態で存在するが,卵胞から分離し培養すると減数分裂が再開始され卵核胞の崩壊(GVBD)、引続き1次極体の形成(PBF)が自然に誘起される。このことから卵胞液中には、卵母細胞成熟抑制因子が存在すると推察されている。一方、妊娠時はその間持続的に卵母細胞の成熟は抑制された状態(卵胞閉鎖状態も含めて)にあり、この様な因子が卵胞液中に常時存在し、血中及び尿中にも分泌及び排泄されている可能性が考えられる。我々は、妊婦尿を材料としてマウス卵母細胞成熟抑制因子を検索することを目的として本研究を行い以下の成果を得た。 (1)妊婦尿材料として市販妊娠尿濃縮物を用いて、マウス卵母細胞成熟抑制因子の検索を行った結果、妊婦尿にはPBFを抑制するタンパク質性因子が存在することが分かった。本因子がRNase(リボヌクレア-ゼ)活性を有したことから、その酵素化学的性質を明らかにした。本因子は、銅、亜鉛イオンにより阻害されない事、至適pH=6.6であることなどの諸性質から非分泌型RNaseであること、さらに糖を50%程度含有しN末端に4残基の前駆体部分のアミノ酸配列を持つ極めてユニ-クな構造を持つRNaseで、本研究により初めて見つかった新規非分泌型RNaseである事が明確となった。さらに、この新規RNaseは正常男性、女性の尿には殆ど検出されず、妊婦尿のみ存在することを免疫化学的に明かとした。 (2)一方、妊婦尿から部分精製した分子量約1万の画分に顕著なGVBD抑制活性が存在することを見いだした。本因子は、ペプシン処理により失活し、またナロキソンにより作用が部分的に拮抗される事が分かった。βエンドルフィンがGVBD抑制活性を示すいう報告、卵胞液中にオピオイドペプチドが存在するという報告から考えて、この画分のGVBD抑制作用の一部は、オピオイドペプチドの作用に基づくと推論した。
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