研究概要 |
本研究では既存の紫外線照度計を選択し,その基礎特性を調べるとともに環境測定への適用性を検討した。また紫外線防護を目的としており詳細な紫外線分布情報を得るため,スペクトル評価の可能な高感度化照度計の開発を検討し,環境測定への適用を試みた。さらに紫外線被曝を電離放射線の放射線防護のネットワークに加えるために,紫外線の放射線学的線量概念の検討を行ない,それに必要な諸量の推定を試みた。 以上の検討の結果1.従来の紫外線照度計でも太陽紫外線の変動特性に関する知見を得ることは可能であるが,方向分布等の評価には感度の改善が必要なこと,さらに,危険度を考慮した放射照度の評価にはスペクトル区分による放射照度評価法を発展させ,光ダイオードと光学フィルタを組合せた多センサスペクトロメータによる評価法が放射線防護上有効な方法となることなどが示された。 2.自然環境紫外線の変動は太陽高度とともに地域の気象条件に大きく依存することが明かとなった。また作業環境の測定では加速器等の運転に直接起因する紫外線は少ないものの,施設・設備等に付帯する照明器具等が紫外線発生源となり,場合によってはこれらを総合して放射線防護を立案することの重要性が示唆された。 3.紫外線被曝量を電離放射線の防護と共通の単位で管理するために必要な放射照度-吸収線量換算係数や放射線荷重係数などの数量的な関係には大きな広がりがみられ,係数の推定値にも誤差を伴わざるを得ないことが明かとなった。これらは,今後の研究により精度の改善が望まれるが,特に日本人の特殊性を明確にするデータの蓄積が不可欠なことが明かとなった。
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