研究概要 |
「コリン作動性ニューロン固有遺伝子の解析」という課題で3年に亘り、神経系興奮伝達機構の遺伝子解析を行った。初年度に、センチュウC.elegansを用いコリン作動性ニューロン、特にシナプス前終末に働く遺伝子変異体を分離し、遺伝子座も決定した。続いて、その中で中心的役割を果すunc-18遺伝子をクローニングし、塩基配列を決定し、その遺伝子がシナプス小胞の放出に関与していることを明らかにした。続いて、この遺伝子のcDNAを発現ベクターに組み込み大量の遺伝子産物を得、抗体を作製した。抗体を利用して組織化学によって、この遺伝子が運動ニューロンのシナプス前節に局在していることを明らかにした。更に、C.elegansからシナプス分離法を確立し、unc-18遺伝子産物との関連性を検討している。unc-18遺伝子変異と似た表現型を示す、従って類似機能に働くと考えられる、unc-11,unc-13,unc-17,unc-41,unc-63及びunc-64も同定している。現在これら遺伝子相互の関連性を調べている。またunc-41遺伝子のクローニングにも成功し、塩基配列の決定、遺伝子産物の性状を調べている。
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