研究課題/領域番号 |
02F00236
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 福井大学(医学部) |
研究代表者 |
横田 義史 福井大学, 医学部, 教授
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研究分担者 |
金 鎮卿 福井大学, 医学部, 外国人特別研究員
KIM JIN?KYUNG 福井医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 分化調節因子 / Id2 / 腸上皮間リンパ球 / 粘膜固有層リンパ球 / サイトカイン / T細胞 / 粘膜免疫 |
研究概要 |
細胞の分化と増殖制御には様々な転写因子が関与しているが、basic helix-loop-helix (bHLH)型転写因子群はその典型例の一つである。これらは生体に100種類以上存在するが、その機能はId2を始めとする4種類の因子によって抑制的に制御されている。Id2はNK細胞を始めとした種々の免疫担当細胞の分化と増殖に深く係わる分子である。本研究の目的は、Id2欠損マウスが呈する免疫系の病態を詳細に解析し、免疫担当細胞の分化や機能発現が転写調節因子によってどのように制御されているのかを明らかにすることである。得られた成果は以下のとおりである。 1.腸管リンパ球の分化にId2の機能に関する研究 Id2欠損マウスの腸上皮間リンパ球を解析したところ、CD4陽性T細胞CD8αα陽性T細胞、CD8αβ陽性T細胞およびγδT細胞のいずれもが対照に比し減少していた。中でも胸腺由来と考えられているCD4陽性T細胞とCD8αβ陽性T細胞の減少は対照の10分の1程度と著明であった。粘膜固有層リンパ球も程度は軽いものの同様に減少傾向が見られた。致死量のエックス線を照射した正常マウスにId2欠損マウスから骨髄移植を行い腸管リンパ球の再構築を検討すると、Id2欠損マウスに見られた病態が再現されたこと、また、腸管リンパ球の各サブセットを単離しRNAの抽出後RT-PCRを行うと、いずれのサブセットにおいてもId2が著明に発現していることから、上記の障害の原因はリンパ球自体に存在することが判明した。Id2欠損マウスの腸管のリンパ球において種々の接着分子の発現が減少していることから、リンパ球に内在する原因の一つとして、Id2次損マウスのリンパ球の腸管へのホーミング能の低下が考えられた。一方、腸上皮細胞はリンパ球と相互に作用しながら種々のサイトカインを発現しするが、TGF-β1を始めとした種々のサイトカインの発現がId2欠損マウスの腸上皮細胞で減少していた。以上より、Id2は腸管リンパ球に必須の因子であり、その減少は腸上皮細胞の性質に影響を及ぼすことが判明した。また、5-フルオロウラシル投与によって腸管粘膜のバリアを破壊すると腸内細菌が侵入するが、この際野生型マウスでは腸管リンパ球による防御システムが機能するのに対して、Id2欠損マウスでは働かずマウスは敗血症のため死に至ることが確認された。 2.増殖制御関連因子とId2の機能関係に関する研究 Id2欠損マウスとRb欠損マウス、p27欠損マウスなどを交配したが、少なくともId2欠損マウスにみられるNK細胞の分化障害や二次リンパ組織の形成障害は上記マウスとの交配によりレスキューされなかった。
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