Auditory brainstem implantの基礎研究を行った。すなわち、(1)動物(ラット)の聴皮質に対する34チャンネルの電極を64チャンネルの埋込み電極を改良し最終モデルを完成させた。この電極が慢性電極として脳の反応を生理学的かつ神経病理学的に調べた。(2)蝸牛神経核刺激多チャンネル埋込み電極の開発。蝸牛神経核を電気刺激するため電極を開発した。(3)音刺激と蝸牛神経核の電気刺激をそれぞれ行い、大脳の聴皮質の反応を記録し、同等の反応が得られるか比較研究した。 結果は次の通りである。 1)聴皮質記録電極の開発:34チャンネルから改良し64チャンネルの電極を開発した。その安定性を調べた。脳組織との反応を記録後、神経病理学的に調べた。接着部に軽度の炎症反応を認めた。どの電極からも局在性示す反応を記録できた。 2)脳幹刺激電極の開発:目的は蝸牛神経核の電気刺激である。蝸牛神経内マルチチャンネル刺激電極を開発した。これを剣山電極と名付けた。これは電気刺激を用いた。電気刺激と音刺激による反応との比較を行った結果、電気刺激と音刺激がほぼ同等であることを明らかにした。 以上、ヒトのAuditory brainstem implantの基礎的データとして有用であると考えられる。この研究以外に、ヒトの骨導による両耳聴についても研究を開始した。従来骨導では時間差については両耳聴が成立しないと言われていたが、Time-Intensity Trade法を用いて成立することを明らかにし、引き続きデータを集めているところである。
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