研究概要 |
楊文力さんは,一昨年11月に京都に到着以来,研究課題「Ruijsenaars-Schneider模型と可積分超対称模型における代数的解析」について精力的に研究を重ね,私との共同研究論文4編を仕上げた.そのうち3編は既に出版されている. 楕円的量子群E_<γ,η>(sl_n)に対する代数的ベーテ仮説とその応用では,一般の整数nについて楕円的量子群E_<γ,η>(sl_n)の高スピン表現を研究した.これに付随した加群の転送行列の対角化を代数的ベーテ仮説を拡張した入れ子のベーテ仮説により行った.多くの楕円的可積分模型のスペクトル問題が解けた.(周期的境界条件に従う高スピンに拡張したZ_n Belavin模型等.)入れ子のベーテ仮説を用いて,A_<n-1>ルート系に付随したRuijsenaars-Schneider模型およびCalogero-Moser模型のエネルギー固有値問題を扱った.結合定数は,整数に限られるが,ポテンシャルは楕円関数とその縮退極限のすべてにわたる.開いた境界条件を持つZ_n Belavin模型の厳密解では,周期境界条件ではなく「開いた境界条件」を持つ可解な模型を論じ,境界反射K-行列を扱った.通常の'頂点型'定式化ではK-行列は非対角型であるが,'面-頂点'変換後の'面型'定式化では両方とも同時対角化できる.擬真空状態が導入できて,代数的ベーテ仮説を用いて二重列転送行列が対角化される.転送行列の固有値と対応するベーテ仮説方程式が得られた.A_<n-1> SOS模型の双対反射方程式の解では,Z_n Belavin模型の'面-頂点'対応とその境界K-行列の従う反射方程式とその双対反射方程式の解の間の同型対応を用いて,A^<(1)>_<n-1> SOS模型の反射方程式とその双対反射方程式の解の同型対応を導いた.A^<(1)>_<n-1> SOS模型の対角的な反射方程式を直接解いて,対角解を得た.
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