研究課題/領域番号 |
02F00306
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
宮武 宇也 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授
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研究分担者 |
WANG Haiming 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 原子核荷電半径 / レーザー分光 / 高融点元素 / 原子線源 / レーザーアブレーション / 蛍光分析法 / 共鳴分光法 |
研究概要 |
王氏が、外国入特別研究員として行っている研究課題は、従来測定が困難とされてきたRe, Os, Irなどの高融点元素のレーザーによるアイソトープシフトや超微細構造測定などの精密分光の実現である。この課題は、中性子が極めて過剰な中・重質量の原子核がもつ中性子スキンの特異な性質を調べていく上で重要な寄与を与えるものと期待される。また、この課題で開発する、アブレーションレーザーと共鳴分光用レーザーの組み合わせによる中性原子あるいはイオン抽出の技術は、短寿命核ビーム生成における元素選択的イオン源への応用技術としても重要である。 15年度は、レーザーアブレーションの機構を調べるため、アブレーションにより生成された原子について、その準安定準位の生成確率測定を行った。対象とする原子には、準位数の多いNdを用い、測定には、誘起蛍光分光法を採用した。この測定を成功させるためには、パワーメータやイオンプロープ、光電子増倍管、誘起レーザー波長の高精度な校正が必要で、多くの時間を使って信頼性のあるセットアップを完成させている。 最終的に、Nd原子の基底状態近傍にある4つの準安定準位についての生成確率を得ることに成功した。この結果は、日本物理学会、秋の分科会や、第五回光量子科学シンポジウムで発表している。また、16年度4月にアメリカで開催予定の国際会議"High Temperature Plasma diagnostics"にも"Velocity and metastable population distributions of laser-ablated neodymium"というタイトルで論文を投稿している。 得られた観測データにおいてもっとも興味深い点は、当初ポルツマン分布から予想されていた生成確率と異なり、大きな確率で高いエネルギーにある準安定準位が生成されている点である。実際に電子ビームにより生成された原子の準位生成確率は1000度程度の温度におけるボルツマン分布でほぼ説明されることから、レーザーによるアブレーションの場合には、その特異な性質を反映しているものと考えられる。
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