研究概要 |
高品質の四元混晶AlInGaNを成長する時、一番難しいことは、ふさわしい成長条件の最適化である。その理由は、三元混晶AlGaN及びInGaNの成長温度が異なるからである。本研究では、成長温度の四元混晶AlInGaN特性の影響について詳しく調べた。 四元混晶AlInGaNのエピ層は、有機金属気相成長(MOCVD)装置を用いて厚さ1.3μmGaN層を持つサファイア基板上に大気圧の条件で成長した。成長温度の影響を調べるために、異なる成長温度780,820,860,900及び940℃において,計五つ試料を作成した。四元混晶AlInGaNの特性はAl及びInの含有量の強く依存しているので、その五つの試料は結晶組成が同じ(Al:〜9%,In:〜2%)ように作られている。原子間力顕微鏡(AFM)測定の結果により表面モフォロジは成長温度に強く依存している。 成長モードは、成長温度の上昇にしたがって、三次元成長から二次元成長の方へ変化することが分かった。高温成長した試料表面には鮮明なフローステップ表面モフォロジ及び微弱な荒さを示しているので、高質なAlInGaN結晶が得られたことを示唆している。AlInGaN材料に関する成長モードの温度上昇による変化についての報告は、世界で初めてのことだと思う。また、AlInGaN材料のフローステップ表面モフォロジについてもほかの研究グループの公開された文献に報告されていなかった。 材料性能の成長温度依存性は、PL及びXRDの評価によって証明されている。高温成長した試料はPLのFWHM値が小さく(〜50meV)、X線ローキング曲線が〜250arcsecであり、高品質な結晶を示している。したがって、AlInGaN,特にAl含有量の高い四元混晶AlInGaNの成長は高い成長温度が必要である。最適な成長温度はInの混入量により、配慮する必要がある。また、AlInGaN/AlInGaN 10周期のMQWs構造は900℃の温度で成長した。XRDおよびPLの測定により、高品質な結晶及びMQWs領域にスムーズな界面を有することが明らかになった。
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